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「覚え書き」 序章。

最近UAEで、どこぞやのお金持ちが飼っていたトラが
訓練師を襲い、コントロールができなくなって
銃殺されたという出来事ありました。またちょっと前には
アメリカのテレビで、飼っていたトラだかライオンだかに
自分の娘をかみ殺されてしまったという父親のインタビューを
やっていました。そのトラだかライオンも殺されたそうです。
また日本ではないけれど、知人が雄の鹿を飼っていて、急に人間を
襲うようになったのでその知人が鹿を殺してしまったと言う話を
メールを下さった方から聞いたこともあります。

責めるは人間を襲った動物ではなくて、本来野生である動物を
飼うことの覚悟と準備をしていなかった当の人間のはずなのに、
本来の生き方とは違う生き方を強いているということから
目をそむけ、自分の手に負えない状態になったからと
殺してしまうー
そういう話を聞くたび、一番の犠牲者は動物だと、悲しいだけとは
また違うなんとも表現のしようのない気持ちになるのです。


ーというのが、今までの私のスタンス。
んが、なるほど、基本的な考え方はまったくかわらないけれど
準備や覚悟をしていず、動物の突然の反逆に見える行為に遭遇した時は
こんな風に衝撃的な思いだったにちがいないと、
パニックになる人間側の気持ちを理解するできごとに
でくわすことになりました。
心を痛めるレバノンーイスラエル問題しかり、
何事にも物事は一面だけでないものなのだよなと、改めて気づいたりして。
まぁそんなことは話の本筋じゃぜんぜんないんですが。

じゃぁ話の本筋はなんなのかということですが、前フリからもわかるように
我が家のことですから、二足歩行動物(人間)の話題のわけがないわけで、
じゃぁどの四足歩行の話かといいますと、
どの四足歩行よりも長い時間をともにしている
サーメルの話になります。
この話に題をつけるとしたら、「うちの子に限って・・!!」
これ以上私たちの気持ちを表す言葉はないんじゃないかと。
「覚え書き」 序章。_e0066474_2133575.jpg
野生動物を飼うということはこういうことなのかと今回
サーメルにがっつり教えられました。ですのでこの機会に
その経験を覚書として書いておこうかと思い立った次第でございます。

実はおろおろするばかりだった私は、冷静に記録にとどめておこうと
思いが及ぶまでに時間がかかりました。
といっても、振り返れば、ことがはじまってから
記録しておこうと思いたつまで、ほんの数日のことなのですが、
カレンダーを見て過ごすことのない生活をしていると、混乱していたとはいえ、
それが昨日だったか、一昨日だったのか、こうも思い出せないものなのかと
ちょっと愕然といたします。。

ま、そんなことはどーでもいいのですが、
話は7月10日にさかのぼります。


前回の更新時にちらっと書きましたが、
わんこのティーニーとタイニーが我が家に来てから、
突然サーメルが幼児ガエリをしました。
「覚え書き」 序章。_e0066474_214467.jpg

ガゼルの幼児ガエリってなんぞやという話ですが、
サーメルが2・3ヶ月のまだちっちゃい頃は
ほとんどが外での生活でした。小さな囲いがサーメルの居場所だったのですが、
相方さまがでかけるたびに、また帰って来た気配を感じるたびに
ブぃーブぃーとよく呼びました。
大人になってからは、そうやって鳴くことは幼少時ほど頻繁では
なくなったのですが、
わんこたちが来てからは、驚くほどに激しくなりました。

ちょっと姿が見えなくなっただけで、通常のブぃーブぃーではなく
なんでしょう、この世の終わりですかいなーというくらい、聞いていても
切なくなるような、ばぁぁぁぁー(切ない?)という鳴き方をするのです。
またそれまでは、私がいなくてもそんなに気にする様子をみせなかった
サーメルが、相方さまを呼ぶほどでないにしても、私を呼ぶようになりました。
みんなそろっていないとサーメルは落ち着かないのです。
みんなそろって庭にいればどうやら安心するらしく、鳴くことはないのですが、
庭で草を食べる時は、ほとんどが相方さまの傍です。
「覚え書き」 序章。_e0066474_2142652.jpg

夜も一緒に家に入りたいと、家に戻ろうとする私たちに
くっついて離れません。
まぁそれを私たちはサーメルの幼児ガエリと呼んでいるわけですが、
それが、7月10日、ぴたっと止まります。まさに「ピタッ」。
前日まで激しかったのに、その日の朝は相方さまがでかけても鳴かず、
丸一日まったくうんでもすんでもぶぃでもないわけです。
それと同時にダマーニのお尻の匂いをかぐ様子を
見せるようになりました。

ダマーニのお尻の匂いを嗅ぐのは、以前から突然思い出したように時々
やったのですが、
「覚え書き」 序章。_e0066474_2144865.jpg
幼児ガエリ中はダマーニに見向きもしなかったサーメルでしたので、
幼児ガエリ終わったのかぁ、わんこたちの匂いとか生活ペースとか
慣れてきたんだねぇきっと、甘えなくなるとちょっと物足りないね~。
なんてのんきに言っていた私たちだったのですが、次の日、
びっくりするようなことが起こるのです。

夕方、いつものようにサーメルたちの囲いに連れて行った相方さまを追って、
私はあとから囲いに入りました。日はとっくに沈んでやや薄暗くなりはじめた
時間でした。ドアへ行くのが遠回りだったので、
塀を乗り越えながら「さ~める~だま~に~」と声をかけると、
サーメルがくるっと振り返ります。しかしその目が普通ではないのです。
あれ?と思った瞬間、サーメルは勢いよく砂丘に登ったかと思うと、
そのままの勢いで砂丘を下りながら、私めがけて突進してきました。
振り返った時点で目つきがぜんぜん違ったので、こりゃおかしいと
構えていたのが幸いし、サーメルの角を捕まえることができたので、
怪我はしませんでしたが、遊ぶときとは全然違う、敵対心丸出しのサーメルに
慌てて走り寄ってきた相方さま。サーメルの角をがっとつかむと、
私から離れたところに引きずっていって
「ダメっ!!」と大きな声を出しながら、手に持っていた小枝でピシッと
サーメルのお尻を叩きます。

ここまで大胆に敵視したようにサーメルが角で攻撃してきたのは
初めてでしたが、どうしたわけかサーメルの大好きな麦を持って、
お皿にいれようと歩いていると、突然つっかかってきたことが
以前実は何度かありました
この原因がどうしてもいまだつかめないでいるのですが、
相方さまは、「ここはびしっと厳しくしからないとダメ」と
すごい勢いでサーメルを怒ります。私はわんこならともかく、
果たしてガゼルにそれが効くのか、ちゃんと理解できるのか
恐怖心を与えるだけではないかと自信がなく、
そこまで厳しくできず、ちょっとだらしがないところがありました。

相方さまに叱られ、相方さまを見上げたまま
きっとガゼルを初めて見た人にもわかるんじゃないかと思うほどに、
それはそれは悲しい顔をみせるサーメル。
でも、その一喝が効いたのか、目が覚めたようにもとのサーメルに戻り、
その後寝るまでなにごともなかったかのごとく、みんなで楽しく
時間を過ごしました。
いったいなんだったんだろうね~、原因をさぐらないとねー
と言いながらも、まさかこんなのは序の口で、次の日はさらに
えらいことになるなんて思いもせずに、その日は就寝したのでした。

「覚え書き」 序章。_e0066474_2151616.jpg
食べちゃだめだっていうのに、新しい木の葉を
食べてへへーんと得意気なサーメル。
「覚え書き」 序章。_e0066474_2153121.jpg
とても穏やかな顔のサーメル。
両方とも10日に撮影。


7月12日

朝、相方さまが先にサーメルたちを庭に出します。私はといえば
先日のできごとなんぞすっかりあたまから抜け、
ティーニーとタイニーの散歩とご飯を終えて後から合流しました。

囲いのドアを開けて、相方さまからちょっと離れて草を食べていたサーメルに
「サーメル~おはよ~」と近づいていきます。
ーといきなりくるっと振り返ったかと思うと、そのままの勢いで
これまた突撃されたのです。
このときは距離も近く、全くの予想外のことに心も体も準備がなかったため、
その勢いを防ぎきれず、サーメルはそのまま私の足に激突、頭は私の足を強打。
幸い私の足の幅がサーメルの左右の角の間とさほどかわらなかったので、
膝頭はサーメルの頭にぶつかり、角は私の膝の左右をかすめていきました。
ただ先が内側に曲がった角にぴったりサイズでなかった私の足は、
無傷と言うわけにはいかず、膝左はかすり傷ですんだものの、
膝右側はかなり深く切れました。

深い傷はたまたま痛点のない場所だったのか、血も出ているのに
不思議と痛みがまったくなく、どちらかというと慌てて出した手に
角の先がぶつかり、そのときにできた小さい小さい傷のほうがひりひりと
痛かったのですが、でもそんな体の傷よりも、非常にありきたりの
セリフではありますが、心の傷のほうが大変大きく、大変痛かったので
ありました。
昨日に引き続き今日。それも私だけ。いったいどうしちゃったのか
悲しくて泣けてくるのです。

傷の手当てをして相方さまとふたりでサーメルたちのところに戻ると、
ちょっとよそよそしい感じをうけはしましたが、
近づいて、いつものごとく耳元や体にチュッとすると
まったくいつものサーメルです。混乱するばかりの私たちでした。


蛇足というか私信というか、のんたさん、キズパワーパッド、すごい。
よく効きました。日本から買ってきて結構経ちますが
やっと日の目をみたキズパワーパッドです。


さて、相方さまと緊急会議です。
当然会議議題は「いったい何がサーメルにおこったのか」。
この時点で考え付いたのは以下のことでした。
1、わんこのことで非常に精神不安定になっている
2、職人さんたちが屋根作業をするようになり、見えるところの
  人の往来が激しくて恐怖心で情緒不安定になっている
3、着ている物が悪かった

この3番目を説明いたしますと、前日の夕方、そしてこの日と
私は膝宛のあるズボンを履いていました。サーメルがまだ小さい頃、
膝をつけて遊んだときにできたズボンの穴に、実家の母が
つけてくれたものです。これがライオンの絵なんですね。
今思えば笑い話なわけですが、当の私たちは、そりゃそりゃ真剣です。
もしかしたらライオンの絵が気に入らなかったのかもしれないから
明日からライオンの膝宛がついたズボンはサーメルの前で
履かないようにしようなどと、本気で二人で考えたわけです。
いやほんと、今書きながらも笑っちゃうんですが。
「覚え書き」 序章。_e0066474_216387.jpg

膝の草食動物の天敵ライオン。













1のわんこについては、慣れてもらうしかありません。
2の可能性も考えて、職人さん達が働き始める時間には
囲いの中に戻すようにすることにしました。
サーメルがもし危険な行為をするようならやはり
厳しく叱らないとダメだと、ここに来てもまだ迷う私に相方さまは
らくだの例をとって説明します。

と、そんな会議中、サーメルが木の枝を角でがりがりやり始めました。
これ、角が生えてきて根元が痒いのか、それとも単に遊んでいるのか
よくやるのですが、木によっては折れてしまうので、
ダメ!と遠くからでも声をかければ、そろそろっと離れていきます。
それでも続けるようなら、「ダメだよ~」と
ちょっとお尻を押すと木から離れていくのです。

声をかけてもだめだったので、いつものようにお尻を押す為近づいていくと、
これまた急に振り返って戦闘態勢で向かってくるのです。
今度は私もがっつり心の準備していたので、角を掴むことができ、
思い切って厳しく叱りました。
このときはそれでサーメルが元に戻ったのです。なるほど
こういうのもときに必要なのかと思ったのですが、この方法が
効いたのはこのときが最初で最後となりました。

次の日日本からのお客様が我が家に来ることになりました。
残念ながら塀越しの対面です。かわいいといってもらいとても嬉しかった
私たちですが、お客様を見る目もどこかおかしいと相方さまも私も
思っていました。

ちなみにこうしてサーメルがなにか変化をしている間、
ダマーニはいたって普通。なんの変化もないように私たちの目には
そう見えました。でも実はそうではなく、この「我関せずヨン」の
顔をしていたダマーニの、目に見えない変化こそがサーメルの豹変に大きく
関係していたんだと、あとあとになってからわかることになります。
「覚え書き」 序章。_e0066474_217086.jpg
「私がなにか?」


サーメルとダマーニの一日は、早朝庭に出て、
天気が穏やかなときには午前中にもう一度庭に出て、
お昼は影で昼寝をし、3時頃起きてもそもそ食べたりうろうろしたり、
夕方5時半頃から暗くなるまで庭に出る・・というのが
通常です。
昼寝している時間に、私はちょこちょこ覗きに行き、
一緒にうとうとしてみたり、隣で本を読んでみたりしていました。

いつものように、寝ているところを驚かさないように声をかけながら
囲いに入っていき、座っているサーメルの横に腰掛けました。
すると間もなく緊張した面持ちでサーメルが立ち上がります。
眠いせいなのか、突進してくるような様子はみられませんが
なにかそわそわして、そろっと私から離れていきます。
ゆっくりおそるおそるサーメルに近づき、体にチュッとやってみるのですが
顔も体もまるで初対面の人に見せるような様子のサーメルに、
なんとも落ち込む思いで、なんだか一人、ぽろぽろ泣けてしまいました。
「覚え書き」 序章。_e0066474_2172026.jpg


次回へ続く・・。
by hanamomoact | 2006-07-27 21:13 | サーメル野生児週間


UAEでの生活。家族はガゼル・犬・鳩・馬・猫・ラクダ・牛・山羊・・・+オットの相方さま。


by はなもも

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たいへん美人さんの白ねこレイアさんと表情がなんともかわいい黒ねこルークくん。ふたりの性格がよーくわかる写真がとても好き。陰陽マークの完成が待ち通しい。
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色も模様もとても魅力的なトルコの装飾タイル。それをトルコのイスタンブルで制作している日本の方がいたとは。素敵な作品の数々、タイルの知識、トルコの魅力、イロイロ満載です。
-イスタンブル発-トルコタイル通信



どの写真も「こんな風に撮れたらなぁ」って憧れです。
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手にとると、ただかわいいだけじゃない、丁寧に思いがいっぱいつめられていることがわかります。
needle work glimmer




≪動物園チーム(勝手に命名)≫

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