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ザーヘルが生まれたその日のお話:その1。

久しぶりのしりーず物、「字」多いです。


10月23日の朝、いつものごとく、相方さまサーメル一家を庭に呼びに行きました。
しばらくすると、これまたいつものごとく、サーメルは庭にやってきたのですが、
それ以降が続きません。相方さまもなかなか戻ってこない。
もしや生まれちゃったんじゃ・・と思ってやきもきして
待っていると、しばらくして
「なんか様子がおかしいよ」と家に入ってきました。

サーメルたちの場所は、家族が増えるたびに増築増築を重ねていったので
非常にややこしいできになっているのですが、
中でも一番狭い場所にダマーニがとどまったきり、
呼んでも出てこないというのです。

こりゃえらいこっちゃ、お産がはじまったに違いないっ!-と
カメラとビデオを首にぶらさげて、一日中待機することもあるかと
水ももって、まだ日中はえらく暑いので帽子をかぶり、
携帯をもって私はダマーニのもとへ、
朝食もそこそこ飛んでいきました。

サーメルは、父サーメルッぷり大発揮で
私に攻撃してきて落ち着かないので庭に、
アミールは、母ダマーニの傍を離れないので
いっしょの場所にいることに、
そして相方さまは仕事にでかけることに、
それぞれ配置がきまったのが朝7時半。


さて、行ってみるとたしかにダマーニ、
狭いところを行ったり来たりしています。
ザーヘルが生まれたその日のお話:その1。_e0066474_12512694.jpg

この時間にこの様子は明らかにおかしい。
でもこの狭い場所を行ったり来たりする事は
子供の頃からのダマーニの趣味(?)なので
さして特別な行為には見えなかったのですが、
座って目の前を行ったり来たりするダマーニをじーっとみていると、
尻尾が妙に上がっていることに気がつきました。
ザーヘルが生まれたその日のお話:その1。_e0066474_16121120.jpg



用足しをするときには尻尾があがるのですが、
行ったり来たりしている長い間、
特に用足しをするわけでもないのに、しっぽがあがりっぱなし。

でもよくみていると、ずっと上がっているわけではなくて、
短い時間ですが、時にパタッと尻尾がおりていることもあります。
たいがいその間は行ったり来たりをやめて、
普段どおりによく食べています。
ザーヘルが生まれたその日のお話:その1。_e0066474_12524323.jpg


いったいなんだろう。。と思ってさらに見ていると、
尻尾があがって歩いている間、
ときどきうんちがぽろぽろっと少量なのですが
お尻からおちるのです。

そのときは今ひとつよくわからなかったのですが、
おそらく陣痛がはじまっていて、お腹が押されるので
その刺激でうんちがぽろぽろ落ちたのだと思います。
人間同様、陣痛は休みなく続くわけではないので、
陣痛がない間は良く食べて、体力をつけていたというところでしょうか。

時には座ってみたり、でもちょっとすると
また尻尾をあげてうろうろ歩いてみたり。
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母がこうして落ち着かない間、アミールは
その狭い場所からでてこない母からほとんど離れることなく、
傍にいました。
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このお産進行中、ダマーニはどういうわけかアミールをよく舐めました。
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いまだザーヘルもそうですが、赤ちゃんガゼルは自分で用足しをしません。
おそらく野生動物の知恵で、一人前に逃げられるようになるまで
子供の痕跡を残さないためかと思うのですが、
母が舐めてくれるまで待っていて、
おしっこもうんちも母がすべて飲んで食べてしまいます。
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もう気分は「赤ちゃんの母」なのか、
なぜかアミールの下にもぐって舐めるダマーニ。
さすがにおしっこはしませんでしたが、
このまんざらでもないアミールの顔。
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それとも、「甘えられるのはこれで最後よ」と母は言いたかったのか。
母にこんなこともしてもらって、
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数時間後にはこんな幸せな時間二度とやってこなくなり、
アミール兄ちゃん人生初の試練がまっているなどと夢にも思わず、
嬉しそうで溶けそうなアミール。
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「おかぁちゃん、見て!ぼくちんこんなこともできるんだよ」
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と、こんな時間が4時間ほど過ぎてやや中だるみ(?)のお昼近くになったころ、
日差しの強さに、真夏じゃなくってよかったよ~、ラマダン中でもできなかったな~、
あーこれでまたシミがいっぱいできちゃうよな~などとそんなことをつらつら
思いながら外をみれば、ラクダも昼寝中。アミールもダマーニも
眠そうで、こりゃまだかな・・と思いながらなんだか私も眠くなり、ぼーっとしながら
ダマーニを見ていました。すると、座ったままなんだかお腹に力をいれるようにして、
体が何度か持ち上がるように動きました。尻尾も同時ぐっと上に上がります。
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私は一気に目が覚めました。ダマーニのあまりの落ち着いた静かさに、
中だるみのように見えていましたが、実は確実にお産は進行していたのです。

最初は定かでなかったその動きがだんだん頻繁になっていきます。
そうしているうちに、いきむと同時になにか水が出てきました。
もしや破水(赤ちゃんや胎盤やその周りを囲む水を包んでいる膜が破れること)か?
と思っていると、どうやらおしっこが漏れているようす。
押す力もどんどん強くなり、おしっこの漏れる量もだんだん増えていきます。


一方アミールはなんのことかわかっているのかいないのか、
座っていきむ母ダマーニの目の前に座って、葉っぱを噛んでみたり
遊んでみたり。
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そうして座ってなんどかいきんだ後、立って歩き、
また座っていきみ・・と繰り返しているうち、
ダマーニは、ぱたっと座り込んで、目をつぶって眠ってしまいました。
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いよいよお産もラストスパートです。



人間もそうですが、お産の終盤、お母さんの体の準備もでき、
後は陣痛に合わせて赤ちゃんがぐんぐんおりてくる段階になると、
母は相当な体力を必要とします。その段階に入る直前、
いきなり陣痛が止んで、急に眠気が襲ってくることが往往にあります。
お産最後に必要な体力の為、体が休息をとるといわれているのですが
(なので、できるだけ緊張しないで、この瞬間眠気にまかせて寝てしまえるほうが
お産にはいいのでした。ーもし妊婦さんがご覧になっていたら、参考までに)、
まさにダマーニはそんな感じ。
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ものの5分、ギュッと目をつぶって熟睡したダマーニ。
そのあと、一気に強い陣痛がやってきました。
それと同時に、ついにザーヘルの一部がちろっと見え始めます。
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ちょっと余談。
このとき、さて、ビデオを撮るか、写真を撮るか
一人二役(?)にとても迷った私。で、あせるなーあせるなーと言い聞かせながら
冷静に考えるように勤めた結果、
一番大事なのは相方さまにその様子を報告することなのだっ!-と
任務を理解し、ビデオ中心に撮ることを決意。

なんですが、どういうわけかものすごい手が震え、
ビデオがなかなか上手に撮れないのです。
人間のお産はそれこそ数知れず見ているし、介助もしたし、
友達のお産でも、妹のお産にいたっては2回ともビデオ係りで、
アングルも考慮したりして楽しんでその係りを全うしたのに、
緊張なのか?感動なのか?いまだもってなんだったのかちっとも
よくわからないのですが、深呼吸しても、なにをしても手の震えがとまりません。
しかも最初は遠慮して、ちょっと離れたところでズームして撮っていたので、
あとで見ると、最初のほうはがたがた揺れて酔いそうな
そんな画像になっていました。


閑話休題

さて、そんなややパニック状態の私をよそに、
本人ダマーニは、物言わず声一つあげず、静かに
やってくる陣痛に合わせていきんでいました。
ザーヘルも、徐々に姿を見せてきます。
ザーヘルが生まれたその日のお話:その1。_e0066474_1551552.jpg


ーと、長い間ダマーニの前で座っていたアミールが立ち上がり、
ダマーニのお尻の匂いをふがふがかぐと、それまで離れることなくずっと
傍にいたアミールが、すっとその場を去って広いほうへ一人でいってしまい、
姿を見せなくなりました。
その後、どこにいたのか、結局ザーヘルが生まれて立ち上がる頃になって
ようやく戻ってくるのですが、
私には、アミールがとりあえずここにいるべきじゃないんだと
そう思ったんじゃないかと思えて仕方ありません。


12時半近く、ぐっと大きな陣痛に合わせて、
膜に包まれたザーヘルのどこかの一部がポロンと出てきました。
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膜に包まれ水に浮いているのが、いったい体のどこの部分なのか確認しようと、
じーっと目をこらしてみたんですが、未知なる物体に
いったいどれがどうなっているのか皆目検討もつきませんでした。


続く。
by hanamomoact | 2007-11-15 16:20 | ザーヘルの誕生話


UAEでの生活。家族はガゼル・犬・鳩・馬・猫・ラクダ・牛・山羊・・・+オットの相方さま。


by はなもも

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